花粉症の漢方薬

漢方では花粉症をどのように診るのか?

 

西洋医学と違って東洋医学では個々の症状に対して原因を追究しません。

 

 

西洋薬で花粉症を治療する場合・・・

 

 

鼻水・鼻水に抗ヒスタミン薬

 

アレルギー性結膜炎に抗アレルギー目薬

 

咳には咳止めの薬

 

などなど・・・

 

 

 

各症状にあわせた薬が処方されるのが一般的です。

 

 

ですから、

 

 

たくさんの症状が出ている場合には
それだけ薬の種類が多くなり
副作用の原因にもなります。

 

 

 

しかし、

 

 

 

漢方をはじめとする東洋医学では
病気を見るのではなく

 

「人を見ます」

 

例えるなら、木を見て森も見るということ

 

 

 

ですから、

 

 

 

各症状にとらわれることなく
病気の原因を東洋医学的に捉えて治療をします。

 

 

 

漢方治療の場合、大きく分けて2つの治療方法があります。

 

 

症状そのものを抑える「標治(ひょうち)」

 

 

病気になりやすい体質を改善して病気になりにくい体を作る「本治(ほんち)」

 

 

これは花粉症の治療だけでなく
漢方治療で行われる治療方法です。

 

 

 

花粉症で例えるなら・・・

 

 

鼻水や鼻づまり、くしゃみなどを治すのが「標治(ひょうち)」

 

 

アレルギー体質を改善するのが「本治(ほんち)」

 

 

 

花粉症を漢方で診ると

 

「体内の水分バランスの異常(水毒すいどく)」

 

ととらえています。

 

 

水毒(すいどく)とは必要なところに水分が少なく、
特定のある部分にたくさん溜まっている状態のことです。

 

 

「なぜ、体の水分のバランスが崩れるのか?」といいますと

 

 

それは・・・

 

 

「体の冷え」

 

 

もっと具体的にいうと

 

 

「胃腸の冷え」

 

 

日頃、冷たいものを飲んだり、食べたりする食生活によって
胃腸が冷えてしまいます。

 

 

ダイエットと言って生野菜を食べる人がいますが

生野菜も体を冷やします。

 

 

胃腸が食べ物によって冷やされると
水分代謝がうまく行かず
体に余計な水が溜まってしまうことになります。

 

 

この余計な水が鼻水や涙目、痰となって体の外に出てきます。

 

 

花粉症の時期に体が重かったり、顔、足がむくみやすくなるのも
まさに水毒の症状です。

 

 

 

話を標治と本治に戻すと・・・

 

 

花粉症の原因である水毒を治療するのが「標治」

 

水毒の原因となる胃腸の冷えを改善することを「本治」

 

 

 

と、いうことになります。

 

 

すでに鼻水・鼻づまりなどの症状が出ている場合は「標治」を行い

花粉症の季節になる以前から花粉症になりにくくする場合は「本治」を行います。
場合によっては「標治」と「本治」を合わせて行う場合もあります。

 

 

それでは、

 

 

次に花粉症の標治や本治に使われる漢方処方薬について説明します。

花粉症につかう漢方処方とは?

 

前回、花粉症の東洋医学的な診方を説明しました。

 

東洋医学では花粉症を

 

「水毒(すいどく)」と捉え

 

水毒を治す漢方薬を使います。

 

 

水毒を治療する場合、

 

 

鼻水・鼻づまりなどの症状から治療する「標治」

 

 

花粉症になりにくい体質にする「本治」

 

 

この2つの治療方法があります。

 

 

すでに花粉症の症状が出ているときは標治から始め

花粉症の症状が治まった後、花粉症になりにく体質にする「本治」を行います。

 

 

「標治」や「本治」に使われる漢方薬はたくさんありますが、
ここではよく使われる処方について説明します。

 

 


 

 

鼻水・鼻づまりなどの症状から治療する「標治」につかう漢方薬

 

 

代表的な漢方薬は

 

「小青竜湯(しょうせいりゅうとう)」

 

 

花粉症だけでなく、アレルギー性鼻炎や喘息、風邪などにも使われる漢方薬です。

 

 

鼻水は滝のようにダラダラ出て止まらない・・・
朝起きたらくしゃみが止まらない・・・
涙目で集中できない・・・
と、言うような症状には
小青竜湯(しょうせいりゅうとう)が合っています。

 

 

小青竜湯(しょうせいりゅうとう)で胃腸を温めて
余分な水分を尿として排泄します。

 

 

ですから、

 

 

小青竜湯(しょうせいりゅうとう)を飲むと
尿の出が良くなって症状が楽になります。

 

 

小青竜湯(しょうせいりゅうとう)で症状が改善しない場合は
体の冷えが強い可能性があるので、その場合は・・・

 

「麻黄附子細辛湯(まおうぶしさいしんとう)」を服用します。

 

 

この処方のポイントは「附子(ブシ)」です。

 

 

附子と言えば「トリカブト」で有名ですが、
漢方で使う附子は減毒処理されているので安全ですが
服用する場合は薬剤師に相談したほうがいいです。

 

 

附子は体を温める作用が強いので、
体の冷えを治し花粉症の症状を改善します。

 

 

「麻黄附子細辛湯(まおうぶしさいしんとう)」は

単独で服用することもありますが、効果が強力なので
「桂枝湯(けいしとう)」と合わせて服用します。

 

 

小青竜湯(しょうせいりゅうとう)や麻黄附子細辛湯(まおうぶしさいしんとう)では
共通の生薬として「麻黄(まおう)」が入っています。

 

 

この「麻黄(まおう)」が時として
胃もたれ、胃の不快感などの症状を引き起こします。

 

 

もし、

 

 

小青竜湯(しょうせいりゅうとう)や麻黄附子細辛湯(まおうぶしさいしんとう)で
胃腸障害が現れる場合は・・・

 

 

「苓甘姜味辛夏仁湯(りょうかんきょうみしんげにんとう)」がお薦めです。

 

 

「苓甘姜味辛夏仁湯(りょうかんきょうみしんげにんとう)」は
小青竜湯(しょうせいりゅうとう)から
「麻黄(まおう)」を除いた処方になっています。

 

 

「麻黄(まおう)」を除いた分、胃腸障害はなくなりますが

体表を温める効果も弱くなるので
「桂枝湯(けいしとう)」と合わせて服用したほうがいいです。

 

 

 

以上、これまでの漢方処方をまとめてみると・・・

 

 

花粉症のファーストチョイスは・・・

 

「小青竜湯(しょうせいりゅうとう)」

 

 

体の冷え、手足の冷えが強いときは・・・・

 

「桂枝湯(けいしとう)」と「麻黄附子細辛湯(まおうぶしさいしんとう)」

 

 

胃腸障害があるときは・・・

 

 

「桂枝湯(けいしとう)」と「苓甘姜味辛夏仁湯(りょうかんきょうみしんげにんとう)」

 

 

 

他にも色々な漢方薬がありますが

 

とりあえず、

 

これらの漢方薬を押さえておくといいと思います。

 

 

花粉症になりにくい体質にする「本治」に使われる漢方薬

 

 

代表的な漢方薬は

 

「補中益気湯(ほちゅうえっきとう)」

 

 

補中益気湯(ほちゅうえっきとう)は胃腸の働きを高める漢方薬として有名です。

 

 

この漢方処方の名前をジーッと見てみると・・・

 

「益気(えっき)」という漢字があります。

 

 

つまり、

 

 

これは「気を益(ま)す」ということ

 

 

もっと分かりやすく言うと

 

 

「元気をつける」ということです。

 

 

「元気の源=胃腸の働き」なので

補中益気湯(ほちゅうえっきとう)で
胃腸の働きを整えることで元気を高めるのです。

 

 

 

「元気を高めることと花粉症の治療とはどういった関係か?」

 

 

 

と言うと・・・

 

 

 

元気があるということは、外からの攻撃に強いことです。

 

 

つまり、

 

 

ウイルスや細菌による攻撃を弾き飛ばす力があるということです。

 

 

 

花粉症になるということは、
花粉による攻撃に体が負けてしまっているということになります。

 

 

元気がないため、
体の守りがおろそかになっているのです。

 

 

誤解しないでほしいのは、元気がある・ないというのは
気持ちの問題ではなくて漢方的な元気のある・ないです。

 

 

自分は元気があると思っていても
胃腸の冷えがある場合は体の守りが弱いので
漢方的に見ると元気がない状態です。

 

 

体の守り、つまり防衛を強化するために
補中益気湯(ほちゅうえっきとう)を服用する必要があります。

 

 

補中益気湯(ほちゅうえっきとう)以外にも
「玉屏風散(ぎょくへいふうさん)」「桂枝加黄耆湯(けいしかおうぎとう)」
といった漢方薬も使われます。

 

 

 

これらの漢方薬に共通する生薬として

 

「黄耆(おうぎ)」があります。

 

 

この生薬が体の守りを高めてくれるのです。

 

 

 

以上、

 

 

花粉症の本治の漢方薬を書いてきましたが
本治の漢方薬を飲む場合は
花粉症の季節の前から服用した方がいいです。

 

 

すでに花粉症になってから飲んでも意味がありません・・・

 

 

すでに花粉症になっている場合は
標治の漢方薬を服用してください。

 

 

さらに、

 

 

胃腸を冷やさないような食習慣も重要です。

 

 

脂っこいもの、甘いものの摂りすぎも胃腸に負担をかけてしまうので
本治の漢方薬を服用するときは食事にも気を付けてください。

 

 

 

 

花粉症になりにくい体質にするためには・・・

 

「補中益気湯(ほちゅうえっきとう)」または「玉屏風散(ぎょくへいふうさん)」